ラボメンバーとJeopardy!というクイズゲームをする

先日、今留学している研究室のメンバーとJeopardy!というクイズゲームをした。コロナ禍で直接会うことができず、WebexというZOOMやSkypeのようなアプリを使いオンラインで行った。

発起人となってくれたのは、うちのナンバー2の実力を持つポスドクである。その彼は南米出身のポスドクで、少しムラっけがあり、平日でも研究室にこなかったりする日があるのだが、でもとてもキレ者で、いいポジティブデータがあると集中してデータをだし、論文としてまとめてしまう。何より彼は人を引き込むのが上手だ。自分だけで実験を遂行するのではなく、みんなに協力を仰いで、チームプレイで短期間に論文をまとめるのが非常に上手だ。

研究業績は自分の何倍も出しているにも関わらず、その彼は自分の人生を謳歌するのも上手で、よく休みよく遊ぶ。よく料理やお菓子を手作りし、研究室に持ってきてくれるし、ラボ旅行なんかも企画してくれる。

日本の研究室にいた頃は、個人のプライベートまでもが厳しく「監視」された。もちろん「禁止」はできない。休日のプライベートを法的に拘束することは、日本の法律上もあり得ないだろう。しかし、「昨日早く帰ってたけど、何してたの?」とか「土曜日研究室にいなかったけど、何してたの?」など、直接的ではないが間接的にプレッシャーを与えるような発言は、かつての研究室の上司がよくしていた。そして、「遊んでいた」と正直に答えると、若干嫌な顔を見せつつ「ヘェ〜」と言い会話を断つのだ。決して「休むのも大事だよ」とか「たまにはリフレッシュしなきゃ」と優しい声をかけてくれることはなかった。胃がきりきり痛むような研究室だった。

今の研究室ではそんなことまず起こり得ない。3週間ほどの長期の休暇をもらい、日本に一時帰国し、ラボに戻った時も「おかえり!日本は楽しかった?」とボスを含め、みんなが優しく迎え入れてくれる。こんなに幸せなことはない。

それは、ボスやみんなが「しっかりと精神的休養をとることが、いい研究に繋がる」ということを体感的にわかっているからだろう。休みなく働くと、努力そのものが肯定されてしまい、「こんだけ努力したんだから、少しぐらいデータの誤魔化しをしても大丈夫だろう」というような、モラルライセンシングが生じてしまう。努力した分だけ、結果が出るほど研究というのは甘いものではない。そして、事実でない結果を公表する研究ほど意味のないものもない。

そのナンバー2の彼には同性のパートナーがいる。そして、時折研究室のイベントにもパートナーが顔を出し、みんなで仲良くやっている。本当に雰囲気の良い研究室だ。今回のクイズも、彼とパートナーが作ってれた。パネル形式のクイズなのだが、研究分野やNIHとよく絡められて非常によくできたクイズだった。本当に才能が溢れる人たちだなと思う。

クイズはオンラインだったがすごく盛り上がっていた。自分も招かれたのだが、結局いつものように一言も発言できないまま終わってしまった。実際に答えがわからないし、意外とみんな手加減しないので、すぐクイズが解かれてしまうのだ。みんなの英語レベルと比較すると、自分の英語は幼稚園児レベルだと思う。せっかく、招いてくれたのに申し訳ないな、と思いつつ、それでもまた招いてくれるのだと思う。ラボ旅行に行った時も、全然英語についていけず、ほとんど会話に参加できないのに、毎度誘ってくれる。そんな状況が3年以上も続いている。

こういうイベントに誘われると、毎回相当なプレッシャーを感じてしまう。やはり、誘ってもらっているのに、みんなに全然ついていけないというのは、期待外れな奴、とガッカリされるのではないかと思い、毎回参加するのが少し億劫なのだ。それでも、誘ってもらえるうちはなるべく参加しようと思う。始まる前はプレッシャーだが、ことが終わると毎回いい思い出として残るのだ。これ以上の自分の財産もないと思う。

このイベントは1時間足らずで終わった。イベントが強制参加でなく、また長引かないのはいいことだ。ストレスが少なく「また参加しよう!」と思える。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする