うつ病の時は意外と「うつ状態」にならない

アメリカから日本に帰ってから、働き始めるまでのしばらくの間、朝から気分がどよ〜んとした、希望を感じられない、鬱々とした日を経験することがしばしばあった。そんな時は近所の銭湯に出掛けて、落ち着いて、心と体を癒していた。

うつ病を経験したことがない人が想像する、いわゆる「うつ状態」「Depressed」というのはまさしくそんな感じだと思う。なんか気分が晴れず、希望や喜びのない、どんよりとした、ネガティブな気分、そんな状態がず〜っと続くんだろうなと。

ただ、思い返すと、うつ病症状が最もひどかった急性期からアメリカ滞在の合計8年間ほど、自分はそういう「うつ状態」というのを全くというほど経験しなかった。「ほなお前うつ病ちゃうやんけ」と思われるかもしれないが、自分が経験した症状というのは「うつ状態」「Depressed」というよりは、「希死念慮」だとか「トラウマ」だとか、そういうきつい心理状態で、それが原因で生活に支障が出ている感じだった。また急性期に感じていた「絶望感」というのは、そういう「ちょっと希望が感じられない感じ」なんて生やさしいものではなく、「ネガティブの元気玉」みたいなのを一身にくらい、絶望感に圧倒されてしまう感じであった。過去に自分がまとめたうつ病時の症状でもそういう気分が落ち込んだ状態の「うつ状態」というのは入っていなかった。

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そういう「うつ状態」を経験して、ある意味でうつ病が良くなってきているのかもと感じだ。「希死念慮」と「うつ状態」を比較すると、圧倒的に「希死念慮」の方がしんどいのだ。日本に帰ってくるまでの間、自分のうつ病の症状は、恐怖心とか「死の連想」とかもっと差し迫るようなきつい症状に苛まれていた。日本に帰ってきて、親に生活のサポートをしてもらえるようになって、そういう「差し迫ってくる症状」がだいぶ希釈され、空いた余地を「うつ状態」が割り込んでくる感じだった。

今年に入って、自分のうつ病・パニックというものが、複雑性PTSDをメインとした副産物的症状であることを理解できた。PTSDとうつ病は相関性が高く併発しやすいらしい。

トラウマが残り続けるとどうなる? ~PTSDとうつ病の関係~

自分にとって「うつ病」は病の枝葉的なもので、病の幹は複雑性PTSDであったのだ。今後の寛解への道のりは、複雑性PTSDに焦点を当てる感じになるであろう。

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