今日はアラサーからの3年間のアメリカへの研究留学でどれくらい英語が伸びたかという個人的経験を書きたいと思います。
筆者はアメリカのNIHという研究機関に留学していますが、ここには100人以上の日本人が所属していると言われており、実際に筆者も数多くの日本人とアメリカで接してきました。そんな中で、筆者自身の英語力の伸びと周囲の日本人の英語力について、3年間にわたる観察を記録したいと思います。
くたびれたおじさんおばさん状態での留学スタート!
前提として言っておきたいのは、自分たちは大学生として海外留学しているわけではないということです。研究者業界ではポスドクとして海外の研究機関で働くことを「留学」と表現します。多くの日本人は博士課程や医師免許を取得後、数年日本国内でポスドクや助教として働いてから海外に留学します。つまり早くて20代後半から遅くなると40代50代から海外に留学します。自分もそうでしたが、その状態の日本人って日本の過酷な労働環境に疲れて、くたびれたおじさんおばさん状態になっているのですよね。そしてその状態で海外に留学する。だから20代前半みたいに「たくさんアメリカ人の友達作るぞ!」とか「日本語断ちするぞ!」とかそういう気力が基本的に残されていないんですよね。
そして、くたびれたおじさんおばさんがアメリカのゆる〜い労働環境に触れると、今までの疲れが一気に解放されて、めちゃくちゃ休むようになります!よく「日本人はよく働く」と言われますが、こっちに来てからわかったのが「日本人は周りのみんながよく働いている限り、よく働く。みんなが早く帰るなら、途端に早く帰るようになる」ということです。これは自分に限らず、周りの日本人のほとんどがそうです。中には日本人が多い研究室もあったりして、そういう研究室で働く日本人は夜遅くまで働いていたりするのですが、欧米人が束ねている研究室で自分1人だけが夜遅くまで働くという日本人は聞いたことがありません!
そしてとっとと帰ってとにかく休みます!筆者のうつ病がだいぶ回復したのも、このたらふくとある休息時間が元になっていることでしょう。
そして、これも日本人仲間からの情報をまとめたものなのですが、家に帰ってから英語の勉強なんてまずしません!みんな日本の過酷な労働環境で何年もすり減って来ていますから。ちょっとやそっと寝ただけでは回復しないのです。そして、海外生活は想像以上に孤独感を感じます。家に帰ると徹底的に日本的な物に触れたくなります。独身の自分に関してですが、帰ってから日本のYouTube動画を寝る直前まで際限なく見ています。他の家庭の状況に関してはわからないのですが、みんな本当に対して英語力が伸びていないので(失礼!)、あまり変わらないんじゃないかと思います。
それでも意外と伸びる英語力
そんなわけで、アラサーから海外留学を始めた日本人が、数年の留学で英語ペラペラなんてことはほとんどないと言って良いと思います。上に書いたようにプライベートな時間を使って英語が上達する機会は、周りを見てもほとんどないです。NIHのように日本人がたくさんいる環境であれば、まず優先的に日本人との付き合いが始まります。またいつか書こうと思いますが、NIHでの日本人カップルの成立率はなかなかのものです。
だから、英語を使う機会は基本的には職場で、あとはレストランとかスーパーがほとんどなのです。しかし、それでも意外と英語力は伸びるのです。例えばスーパーで「袋要りますか?」は英語で”Would you like a bag?”なのですが、留学開始時は聞き取れなかったこの”Would you like a bag?”などが聞き取れるようになります。そりゃそうですよね、スーパーで買い物するたびにこう聞かれるわけですから。でもこれが海外で生活するということなのです。こういう日常必需的な場面で出会す英語は否が応でも覚えることになります。
持っている単語の運用力は留学半年でだいぶ上がる!
基本的な単語力、語彙力は残念ながら自然にはほとんど伸びません。わからない単語に出会ったら飛ばさずに、意味をしっかり覚えることで上達していきます。日本人仲間で言うのは「やっぱり語彙力だよね」と言うことです。筆者みたいに中高の受験英語と論文英語しかやってこなかった立場からすると、基本的な単語を知らないことに改めて気づかされます。
一方で元々知っている英語の運用力は意外とすぐに上達します。具体的にどう言うことかと言うと、例えばこんなことがありました。
筆者の親がアメリカに会いに来てくれた時、送迎バスで筆者の家まで来たのですが、筆者のアパートの前で降りずにアパートの周りをグルグル周回するということがありました。
父親に聞いてみると「ここで降ろしてください、っていう英語が出なくて」と言っていましたが、筆者は「そんなの”stop”って言えば良いのに」とすぐに英語が出ました。
目的地にバスがついた時に言う言葉は「ここで降ろしてください」以外にもたくさんあります。乗客が”stop”と言えば運転手は「ここで降りたいんだ」と分かります。それ以外にも”This is my apartment”「これが私のアパートです」と言っても伝わりますし、”Here!”「ここ!」の一言でも伝わります。”I want to get off here”と主語を自分にすることもできますし、”Can you let me get off here?”と相手を主語にすることもできます。ここに出て来た単語は全部中学レベルのものですが、それでもバスを降りたい時には、これくらいのバリエーションがあります。そして、こういう持っている単語を使いこなす技術は意外とすぐに上達しました。
アメリカに半年いてもネイティブが言っていることはほとんどわかならいのですが、自分の言ったことの何が伝わって何が伝わらないかは意外とわかるのです。
少し長くなりましたので、次回に続きます!
コメント
[…] 前回の記事でアラサーからの海外留学でどれくらい英語が伸びるかについて書きました。まず多くの日本人がくたびれた状態で留学するので英語学習に対する気力が落ちていること、そ […]
[…] アラサーからの海外留学3年で英語はどれくらい伸びたか?前編 […]
[…] アラサーからの海外留学3年で英語はどれくらい伸びたか?前編 […]