2013~14年ごろにかけてうつ病の兆候が現れ、2015年にうつ病・パニックを発症し、もうすぐ10年になる。昨年、アメリカから実家に戻ってきて、両親のサポートもあり、心理面、生活面で余裕が出てきたことで、うつ病パニックもだいぶ改善してきた。
少し余裕が出て、自分の病状を俯瞰的にまとめてみようと思った。
下の図1は自分が経験したうつ病パニックの全症状をまとめたものである。渡米前で、日本で死にそうになりながら研究活動を行っていた時の急性期の症状である。
まとめている最中で、あくまで自分のうつ病パニックの症状に関してであるが、大きく三つに分類できるかなと感じた。青で囲っているのが、自律神経やサーカディアンリズムの異常からくる症状で、緑は報酬系の異常、赤は扁桃体(恐怖心)の異常からくる症状で、それぞれオーバーラップする部分もあると感じている。
自律神経の乱れ(青)により、うつ病発症以前は何も考えず無意識にできていたこと(歯を磨くなど)が、ものすごく困難になる。おそらく、サーカディアンリズムが乱れ、それを自力で回復させるのが困難であるのがうつ病の症状の一つなのであろう。
その他にも実験中に肩こりするようになったのもの、うつ病を発症してからである。これが良くなってきたのは留学中盤の2019~2020年あたりであろうか…現在も0にはなっていないが、それでも、かなり実験に集中しても気にならない程度になっている。ひどい時は10分くらい同じ姿勢でピペットマン作業をしただけで、ものすごくひどい肩こりを経験していた。肩こりは持続せず、作業をやめると気にならなくなる。
うつ病パニック発症直後の最もひどい時期は研究室の廊下を歩いているだけでつまづいて転けそうになっていた。明らかに体の何かがおかしくなっているが、アメリカにいるうちに何もない所でつまづいた記憶はないので、本当に一番ひどい時の症状である。
また、ずっと「体が硬い感じ」「血行が悪い感じ」があって、アメリカにいる間もなるべくストレッチをするように心がけていた。だが、日本に帰ってきてから、サウナに通っていることもあってか、体が硬くなる感じをあまり経験しなくなり、現在はストレッチをしなくても気にならない(健康のため、ストレッチする分にはいいと思うが…アメリカにいるうちはもっと切実にストレッチしていたのだ)
希死念慮を青の位置に置くのはちょっと違う気もする。というのは、自分の希死念慮の始まりはパニックの始まりと同じだったから。ただ自分の中で、希死念慮は恐怖心に根ざすものではなく、「寝起き」と必ずセットになって訪れるものなので、どちらかというと青の部分になるかなと思う。また、アパシー等の報酬系の異常とオーバーラップする部分もあると思う。
緑は報酬系の異常で自分の場合、アンヘドニアの比重が大きかった。赤の部分においた学習性無力感も報酬系の異常と扁桃体の異常がセットになったものかなと思う。
アンヘドニアに関してはアメリカ生活でたくさん遊んでいる中で回復した。もともと遊ぶことをあまり肯定されなかった自分がアメリカ生活の中でたくさん好きなことを見つけて、この部分に関してはうつ病発症以前より現在の方が改善されているかなと思う。
ゲームだったり、買い物だったり、旅行だったり、ハイキングだったり、そういうことはいくらでもできるし、したい。
自分にとって厄介なのはパニックの原因である扁桃体異常の赤の部分なのである。症状的に、これが最もつらいし、現在も最も尾を引いている。ただこれも、両親と同居することで恐怖心が和らいだのか、アメリカで一人で頑張っていた頃より大幅に改善している。
現在、自分にとって最も大きなディスアドバンテージとなっているのが「恋愛できない」ということで、これは報酬系(緑)と扁桃体(赤)の両方から来るものだと感じている。成功体験のなさと、失敗からくるトラウマの二重苦が自分を恋愛から遠ざけている。でも、同世代よりだいぶ遅れをとることになっているが、いずれは勇気を振り絞って恋愛を再開したいと思っている。
好みの女性を見つけて、その人にアタックし、親密な関係になれる可能性に挑むというのは、本来、失敗してもウキウキワクワクすることだと思うのだ。うつ病発症前の自分はそうだった。
現在の自分のうつ病パニックの状態を示したのが図3だ。アメリカで改善した状態の図2と急性期の図1と比べるとだいぶスッキリしている。
アメリカ生活でもアンヘドニアや焦燥感、絶望感は改善したのだが、トラウマパニックの症状と生活リズムや希死念慮はほとんどよくならなかった。これらの症状は家族のもとに帰り、孤独感が消え、安心感を得ることで初めて改善が見られた。両親と同居することで生活リズムもものすごく改善した。狭い家で3人で暮らしているため、生活リズムが年老いた両親に引きづられる。両親は自分がタバコを吸っていたことなどつゆ知らず、知ったらショックで卒倒すると思うので、とてもじゃないが実家でタバコは吸えないし、ポルノもなかなか見ることができないが、絶対にそっちの方がいい。
寛解に向け、自分なりに工夫し、よく頑張ったと思う。